富野セリフで語る、サンダカン by ぴあダー
(2004.6.29update)
※ぴあ による注意書き: 富野さんとは、「機動戦士ガンダム」など数々の名作を生み出した富野由悠季監督の事です。我が家では神とあがめられております。(嘘) こんなことを書いていると、ダーは秋葉原によくいるようなオタクではないかと思われるかもしれませんが、一応見た目だけは |
第一章 サンダカンの重力に魂を奪われた人たち
サンダカン八番ガイドでは頻出の言葉です。出典は、機動戦士Zガンダムのカミーユ・ビダンの台詞、「本当に排除しなければいけないのは、地球の重力に魂を奪われた人たちです」。
サンダカンの重力に魂を奪われた人、具体的には知人のM氏です。彼はスールーの貧しい家の生まれでした。にもかかわらず、アメリカに国費留学生として留学し、修士号までとっています。そのままアメリカで暮らせばいいのに、ここまで支えてくれた親兄弟にすまないということで、サンダカンに帰ってきました。
問題はここからで、サンダカンに帰ってきても、無給で弟の仕事の手伝いをしていたりするのです。そのくせ、怪しい不動産の投資話には簡単に飛びついてしまいます。
そう、アメリカで修士をとりながら、サンダカンに帰らずにはいられない精神!そしてサンダカンで、とてもその学歴に見合わない生活をしている、その姿!!!(ここ超学歴社会なのに・・・)。これこそ、サンダカンの重力に魂を奪われている状態なのです。
私たちも最初は住み始めて、なんでこんなところに帰ろうと思うのだろう、と不思議でした。しかし、次第に、小食店でチリソースがなくては食事がおいしく感じなくなったり、思い立ったら週末にリゾート行っている生活をしたりしてるうちに、だんだんサンダカンの重力に魂を奪われつつある自分たちを感じているのです。多少の停電や断水なんて、かわいいものです。
サンダカンに20年以上住んでいらっしゃる、サンダカンの日本人会の方々は、旅行で近隣地域に行っても、サンダカンが一番、落ち着くとおっしゃってられます。みんな、サンダカンの重力に魂を奪われているのです。
第二章 サバとは違うのだよ、サバとは
出典「機動戦士ガンダム」
こちらに赴任する前に、サンダカンにきたことがある人にいわれました。「サンダカンは石垣島みたいなところだよ」
こちらに来てみて確かに実感。KL-KKは、ほぼ東京ー那覇間の距離。KK-サンダカンは那覇ー石垣ぐらいの距離です。
でもそれ以上に、半島とサバは違います。まず、民族構成。半島に大量にいるインド人がほとんどいません。かわりに、こちらの民族、カダザンドゥスンがいます。また、半島よりも合法、非合法含めたフィリピン人、インドネシア人がいっぱいいます。国籍が違うだけで違いはなかなかわかりません。こちらのローカル民族、バジャウ族やスールー族は、家族の中でもマレーシアのICを持っていたり、持ってなかったりという状態です。
インフラ整備もだいぶ違います。一度トレンガヌの田舎町までいったことがありますが、山の中まできれいに道路が整備されていました。サバだと、サンダカンーKKの主要幹線道路ですら、大雨の後は道ががたがたです。毎年毎年大工事を行っているような状態です。半島には高架の高速道路もありますし、日本のJAFみたいなのもありますが、そんなもの当然ナッシン。
詳しい歴史は他の偉い人のページに譲るとして、サバとサラワクは1964年に後からマラヤ連邦に加わって、マレーシアが成立しました。ですから、半島の人にとってもサバの人にとっても、おたがい別の国という感覚があるようです。いろんな経緯で、国内線でもパスポートが必要だったりします。
ほかにも、中国系のひとがサバだと色が黒かったり、半島では、トゥドゥン巻いてバジュ着たマレー人の中に教養が高い人がいるけど、サバで、そんな格好した人がいたら英語話せない人が多かったりとか、かなりいろいろ違いがあります。
第三章 そんなににゃんこが好きかあぁぁ!!!
出典、∀ガンダムのギンガナム御大将の台詞、「そんなにディアナが好きかあぁぁ!!!」。
サンダカンの猫は、妙にかわいいです。犬は、なんか目つきが悪くてかわいくないのが多いんですけど。猫は手足が長くて、顔が細いのが多いです。そして、なぜかほとんどの猫がしっぽが曲がってます。ほとんどしっぽがない猫もいます。けんかで変形した訳でもなく、生まれつきのようです。
サバの猫は小振りでかわいいのが多かったのですが、クアラルンプールでは、日本クラスの思いっきりデブい猫を発見しました。どうも食生活の問題なのかもしれません。暑いと脂肪がつきにくいからかも。
また、うちの近所の猫は、人に対して物怖じしません。うちに常駐しているそらっちなんぞは、初めて来たとき、扉の隙間からちょこちょこちょこっと入ってきて、そのまま家に居着きました。当時、まだ子猫だったのに。現在では、時々、思いっきり仰向け、というかものすごい格好(赤塚不二夫のシェーの格好)で、うちで寝ています。
そんな猫たちですが、生存期間はそんなに長くありません。そらっちだってよくぞここまで育ったという感じです。これまで、消えていった猫たちに合掌・・・。
第四章 ガンダムサヤップコソンカスタム
出典、ガンダムウィングゼロカスタムをマレー語にしただけです。ださださ〜。(※「新機動戦記ガンダムウィング」は富野監督の作品ではありませんが、富野作品のターンAガンダムにて、コレン・ナンダーの記憶として一瞬ウィングガンダムが出てくるのでヨシとしてください)
マレーシアでは、民族構成の関係上チキンがいろんな場面で最も食されます。本当は豚肉が一番うまいのですが、それは今回は省略。
鳥料理の中でも、夜の町で最も人気が高いのが手羽先(チキンウィング、アヤムサヤップ)です。日本の手羽先とほぼ同じですが、はちみつベースの甘ダレがかかっているのが特徴です。手羽先部分とドラムがセットで1ピースRM1.5がこの辺の相場です。通常飲み屋の外で、手羽先屋台を開いている人がいて、そこで別払いで支払うことが多いです。
ほかに、マレーサテーも人気が高いです。サテーは通常アヤムとダギン(鳥と牛肉)がありますが、私はカンビン(ヤギ)が大好きです。相場は1本RM0.5。ピーナッツソースがかかっているのが特徴です。サテカンビンのないマレーシア航空のビジネスクラスは、牛丼のない吉野家に行く気分でいまいち好きではありません。冷めてるのもマイナス。サテーは熱いのが一番。
それはともかく、なんでヤギでラムでないのか不思議かもしれませんが、サンダカン周辺で、家畜で育てられているのはヤギなので、サテーカンビンはヤギ肉に違いないと思ってます。KLで聞いたら、カンビンはほとんど見ないと言っていたので、サバやインドネシアでしか食せないのでしょう。
日本の石垣島には、山羊汁という強烈な料理がありますが、こちらにもスプ カンビンというのをどこかで見かけました。怖くてチャレンジしませんでしたが、いつか挑戦したいと画策しています。
サンダカン周辺の屋台料理で忘れてならないのは鍋貼(焼き餃子)。半島にはほとんどいないそうですが、サバには北方の山東出身者が結構いるそうで、彼らが鍋貼屋台をやっています。相場は1個RM0.4。
鍋貼は日本の餃子より皮厚で、皮の味を大事にしている感じです。中身はチキンだと思うんですけど、豚肉を使っているという説もあります。ともかく、日本人にとっては屋台で食べる最高の酒のつまみの一つであります。鍋貼のタレにチリソースを入れるようになったら、あなたもサンダカンの重力に魂を奪われつつあるといえましょう。
おまけですが、サバの屋台料理を語るのに、センポルナの屋台を書かずに入られません。ここの屋台は、完全にフィリピン式。サテーと違って、長串に大きな鶏肉の固まりや、宮崎風のもも焼きをあぶってます。しかも、味付けは甘いソースでなくて塩味ベース。日本人には、こちらの方が食欲をそそられます。唯一の欠点は、ここの屋台街ではビールがないこと。持ち込みが必要でしょうが、スーパーには冷えたビールがなかった・・・・。
第五章 語彙が薄いよ、何言ってんの!!!
出典、機動戦士ガンダムのブライトさん「弾幕薄いよ、何やってんの!!!」
マレーシアの公用語はマレー語です。英語もかなり通じる国です。中国人はプートンホァ(普通話、マンダリン、北京語)が共通語になっています。また、ローカル民族は、それぞれローカルな言葉があるそうです。
私はマレー語がだめなので、こちらでは英語で意思の疎通をとります。マレーシアで助かるのは、マレー語の文法がかなりアバウトであること。時制の変化はないし、冠詞や単語の複数形もありません。彼らは英語も、マレー語の文法で話すことが多いです。よって、日本人の一番苦手な部分を気にしなくて済むのです。多分マレーシア人の英語(英文法)の成績は、そんなによくないと思っていますが、そんなことは知ったこっちゃありません。たまに、フィリピン人と話をしているときなど、めんどくさいときに間違った文法の話し方をすると、「はぁ〜、何言ってんの?」って反応をされます。マレーシア人相手だと、結構そのままスルーしてくれるので助かります。マレーシア人以外だと、日本で習った文法教育の大切さを実感します。
また、こちらで使われているのは英語です。日本の学校で教えているのは、英語でもなんでもなくて米語です。したがって、時々違和感を感じることがあります。Wednesdayの発音はウェニズデイだし、Oftenの発音はオフトゥンです。日本の学校も、本気で国際人を養成したいなら米語は止めるべきだとこっちに来て思うようになりましたが、日本はアメリカの属国ですから仕方ないでしょう。
こちらの英語にも、独自の単語があります。最も代表例はoutstation。これはぜったいに辞書に載ってないでしょう。日本語に訳すと、「外勤か出張」になるのでしょう。
こちらの人たちは、中国人は中国語のイントネーションで英語を話しますし、インド人はおそらくタミール語のイントネーションで英語を話します。日本人も、「日本人発音わけわからん」といわれることもありますが、あまり気にせず主張することも重要なんではないかと思います。もちろん、相手に聞きやすいしゃべり方をする、心遣いは大事なんですけどね。
マレーシアに来てから、共通語は母語と違って、所詮、会話の道具にすぎないということを、強く感じるようになりました。だから、英語特有表現(例えばa
piece of cakeとか)は覚える必要がないし、誰もがイメージしやすい表現を使うことを心がけた方がいいと考えるようになりました。
第六章 いっぱい子猫が死んだんだぞ!!!
このお話、子猫はほとんど関係ありません。ひたすら注文したものを待たされた話です。出典は、機動戦士Zガンダムのカミーユの台詞、「いっぱい人が死んだんだぞ!!」最終回の精神崩壊フラグが立った、重要なシーンです。
閑話休題。2003年2月頃、コタキナバルの某店にパソコンとソフトウェアを注文しました。発表されたばかりの新製品でした。マネージングディレクター(って店長だよな)は、私と同年齢の調子良さそうなカダザンの兄ちゃん。彼は英語が得意なようですが、サバで聞いた英語の中で最も聞き取りづらい英語を話します。あとあと、これが電話でのやり取りで苦労の一つになったのでした。
先に支払いをすることになったのですが、このとき、入荷を早くするために会社名の口座でなく、個人宛に支払ってほしいと言われました。こちらの価値で130万円ほどの金をですよ!私はわざわざ彼と銀行まで出向いて、キャッシュを引き落としたのでした。何となく、悪徳先物取り引き業者に入金するために付き添われて銀行に行ってる気分でしたが、その気分は全く正解でした。
そのあと、日本のパソコンニュースサイトで入荷まで2ヶ月ぐらい待たされることを知り、物がなければ仕方ないなぁとひたすら待つことにしました。2ヶ月過ぎたあたりからファックスなどで問い合わせてもなしのつぶて。数回ファックスを送ったあと電話することにしました。すると、店長がいないから連絡先を教えろとのこと。こちらの携帯番号を教えましたが、当然のごとく返事なし。
何度かのやり取りのあと、ようやく店長が捕まったら、今度は、実は一度納品されたが、ソフトのインストールがうまくできないのでシンガポールに送り返したとのこと。ほんまかいな!?そうして、また数ヶ月経つことなりました。
8ヶ月後、そのモデルは生産中止となり、さらに新製品が出ることとなりました。差額なしにしてやるから、どれにするか選べとのこと。ともかく早く納入してほしいと訴えました。しかし、それからさらに2ヶ月待たされることになるのです。(涙)
そんなこんなでひたすら待たされ、あるとき「ええかげん、納品されないならrefund要求するぞ」とFaxしたら、なんと製品が来ているとのこと。でも、何か不具合があるので送り返そうと思っていると、前回と同じ言い訳をしてきやがったのです!当然、そんなことは信用する訳もなく、なにがなんでもガンダム、もとい商品を奪取すべしと、私は5時間半のコタキナバルまでのボコボコの道のりを車で駆り、受け取りにいったのです。
店舗で持ってきたノートパソコンと接続して具合を見たら、なんのことはない、ちゃんと動いています。実はこのとき、店にもしディスプレイが無いから確認できないと言われるケースまで想定して、液晶ディスプレイまで持参していました。店長は、特にすまなそうな感じもなく、結構時間がかかっちゃったねー、不具合あっても知らんからね〜、と人ごとのように言っておりました。苦難の末、商品を奪取した私は翌日同じ時間をかけてサンダカンに帰りました。現在そのパソコンを使って、この文章を書いています。
今思うと、彼はおそらく大量のバックオーダーを抱えていて、うるさそうなところか、得意先を優先的に納品させてたのだろうと想像がつきます。はるばるシンガポールから取り寄せているのに、ほとんど在庫なしで経営してますから。私に商品を引き渡したのも、本当はイヤだったのでしょう。
さて、話はこれで終わらず、同時に注文したソフトウェアは、さらに半年待たされて、先日店長がサンダカンに遊びにきたときに、ようやく引き渡されました。当然、次のバージョンになっていました。約1年半のバトルでした。
その間うちで生まれたレンたんの子供は少なく見積もって10匹以上。今いる4匹以前の子猫はいなくなったり、目の前で冷たくなったりと全滅でした。その間の店長とのやり取りを思い出すと、カミーユじゃないけど激高したくなる気分ですが、ネタ的には極めてサバ的な体験できたと思うと悪くなかった気もします。
あ、これ物品管理上、フィクションということにしておいてください>職場関係のみなさま。
つづく・・・